浮気というとどんなイメージを持つだろうか?
僕としては、パートーナーを欺き自分の欲を貪るといったマイナスイメージがある。
決して社会的に良いとされている事でなく大っぴらに浮気してますと言おうものなら、周囲の人間も遠ざかってしまうだろう。
そんな悪いイメージである浮気。
これが実は人類の発展を支えてきたのでは?という面白い説が存在するのだ。
「ヒトがヒトになりえた理由、すなわち人間が言語能力と思考力を進化させた理由は、浮気だ」
これは、動物行動学者である竹内久美子さんがデビュー作『
浮気人類進化論―きびしい社会といいかげんな社会 (文春文庫)
』の中で述べているフレーズである。
衝撃的ではないだろうか? 浮気が人類を進化させてきたと言い切っているのだ。
竹内さん以前の動物行動学者は、人間が言語能力等を発展させた理由として狩猟や戦争を上げている。
我々も何となくそういった認識を持っていたはずだ。
しかし、この戦争が人間を進化させたという説では納得いかないポイントがあるそうだ。
昔から狩猟や戦争といった組織的な活動に参加してきたのは主に男なのに、現実には、個人差はあるものの、女のほうが男よりも圧倒的におしゃべりだからである。
なるほど、戦争に参加してるのは男ばかりなのに女の方がおしゃべり上手では確かに変だ。
そこで浮気の登場だ。
浮気がどのように言語能力向上に繋がった、まずは男を対象に考えたい。
浮気の場で男が女を口説くのは大変なことだ。女をついついその気にさせてしまうのは、もっと大変なことだ。だから男には優れた言語能力が必要になる。
更に、浮気をすれば、妻にそれがバレないように、もっともらしい口実を様々に考え、話の辻つまも懸命に、しかも何食わぬ顔で合わせなければならない。浮気は妻にバレてしまったら元も子もないからである。
そこで男はますますその言語能力と思考力、すなわち脳に磨きをかけることになるのである。
そして、そのご褒美として、男はより多くの自分の子孫をこの世に残すことが出来るのだ。
確かに、その場で巧妙な嘘をつかなければすぐさま見抜かれるだろう。そうなれば、離婚に発展し慰謝料を払い続ける余生となってしまう。それを避けるためにも浮気は絶対にバレてはならない。(そもそも浮気をするなという話だが)
次に女性はどのように発展したのか?
夫に浮気され、他の女のもとへと走られたり、むこうに子供が生まれたりしたら、それこそ大変なことになる。
自分や自分の子に対する男の投資、献身が減ってしまうからだ。
それではなくとも、女は男と違って、自分で産める子供の数が限られているのだ。産んだ子は大切に育ってもらわなければ困る。
そこで女は対抗手段として、女同士で集まって、井戸端会議を始める。
そしてそこで一見無駄話とも思えるような話をしながら、お互いに対して探りを入れ、情報を交換しあうのである。
もちろんそれと同時に、夫の言動にも細心の注意を払う。
これにより、女もまた男と同じように、いや男以上に、その言語能力と思考力に磨きをかけてきたというわけである。
見事な考察だ。
確かにこの説ならば男女共に進化した理由となるであろう。
浮気がまさか現在の我々を形成してきたとは思いもよらなかった。
「浮気は文化だ」というフレーズはあながち間違ってはいなかったのだ。
もし、今現在、自分のパートーナーが浮気をしているとしたら、それは更なる脳の進化を遂げようとしている最中なのかもしれない。
新たな人類の誕生の為にも暖かく見守ってあげるのもいいのではないだろうか?
(そんなことはないです。浮気をやめさせるか、別れましょう)
浮気人類進化論―きびしい社会といいかげんな社会 (文春文庫)
- 作者: 竹内久美子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1998/11
- メディア: 文庫
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