ワイシャツのエリや袖口の汚れというものは非常に厄介だ。
なかなか元どおりの綺麗さっぱりな色合いにはなってくれやしない。
真っ白なシャツであれば、ようし漂白攻めにしてしまい三日三晩漬け込んでやろうか、ぐへへと、ニタニタ出来る訳なのだが、自分の仕事着は薄水色。漂白なんてしようものならまだら模様の可哀想な仕上がりになることは間違いない。
これまでに数多くの選択法を試してきた。
食器用洗剤が油汚れには強い。
ということで、身体からにじみ出た油を落とすべく食器洗剤をエリ等に塗りたくり古歯ブラシでこすって38度のお湯に浸しておく。
30分近く漬けておけばよかろうと、しばし放置。
よしよし、きっと汚れはすっかりなくなり、美しい姿が見えるはずだと嬉々として湯からすくい上げる。
やや、どうしたことか。全くもって代わり映えがないではないか? いや、これはきっと汚れが浮き出しているはずだ。目には分からないが、そうであるに違いない。これを洗濯機に突っ込み、廻してやればきっとピカピカになるのだろう。
そう信じて、洗濯機にかける。グルン、グルンと勇ましい低音が鳴り続けること30分ほど。
ピーっという洗濯終了音を確認し、蓋を開け取り出してみる。
うへあああ。同じじゃないか。少しは汚れが落ちている気がするが、気持ちの問題レベルである。そう、何事も気持ちの問題だよね。気の持ちようよ、気の持ちよう、と励ましてくる先輩女性社員のような感じである。
洗濯屋に持っていくしかないのであろうか。しかし、この頑固過ぎる汚れはきっと染抜きなどという別料金発生事象を免れぬことは間違いない。そうなるとワイシャツ一枚につき、千円近くになる。ぐへえ、幾らお金があろうと足りぬではないか。
そんな厄介ごとを抱えて過ごしている時、職場の同僚より素敵な物の情報を仕入れた。
それは何か。
石鹸。
石鹸である。
なに。石鹸?そんな原始的なもので綺麗になるはずがない。そう思ってはいたが、どんな汚れも瞬く間に退治してくれる有難いやつが薬局におるとのことだ。
もはやワラにもすがる思いのまま薬局で仕入れることに。
そいつは緑色のウタマロなどと落語家のようなフザケタめいを名乗っているではないか。
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値段も安く、こんなやつで頼りになるのかしらと不安ではあったが、もはや他に手立てはない。
ウタマロを握りしてレジで精算を済ませてしまうと、何処にも寄り道をせず、まっすぐと家に向かい、即刻洗濯に取り掛かる。
ワイシャツを水に浸し、ウタマロをエリにこすりつけ、石鹸が染み込んだらごじゅごしゅとこすって洗う。
これはどうしたことか。みるみる間に汚れが、汚れがスルスルと落ちていくではないか。
ウタマロ。。ウタマロ。。お前は本当にすごいヤツじゃないか。
嬉しくなり、どんどん色々な物を手当たり次第にウタマロをこすりつけていく。
これまでに洗濯泣き寝入りを重ねてきた僕は何だったのだろうかと思うた。
すっかり見違えっていく衣類たちをぼんやりと眺め、洗濯機に入れていく。
ウタマロありがとう。
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