僕は小さい頃「ゲゲゲの鬼太郎」「河童の三平」の小説版を学校の図書館で借りたり、親に買ってもらったりして読んでいた。
アニメの方も観ていた。
その当時は作者がどんな人など考えてみたこともなく、そもそも別に興味も無く、ただ様々な妖怪が出てくるのが面白くて楽しんでいた。
作者は水木しげるという人で、その人は戦争で片腕を失ったという事しか知らなかった。
当時の感想としては、戦争に行った人がまだ生きていて漫画を書いているなんて凄い。とそんな事を思っていた。そもそもいつ戦争が終わったかさえも知らなく、自分が生まれる遥か昔の話だとしか考えていなかった。
それから随分と時は経ち、大人になった僕はたまたま水木しげるさんの本を幾つか手に取った。漫画の方でなく、水木しげるさん自身についての本だ。
何冊か読んだが、今回は読んだばかりの一冊を紹介したいと思う。
『水木サンの幸福論』だ。
ブックオフの100円均一棚にてゲットした。
(結構ブックオフの100円棚はいい本が眠っているので侮れない)
この本は2部構成となっており、1部は水木さんが考える幸福論について。2部は自身の半生について書かれている。
今回はそのうち、1部の幸福論について書いていきたいと思う。
■水木しげるさんの幸福の7ヶ条
1.成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。
2.しないでいられないことをし続けなさい。
3.他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追求すべし。
4.好きの力を信じる。
5.才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。
6.なまけ者になりなさい。
7.目に見えない世界を信じる。
この7つで構成されている。
各条ずつ説明を加えていきたいと思う。
1.成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。
成功や栄誉や勝ち負けにこだわってばかりで、熱中することを忘れてしまっている。
好きなことに没頭する、そのこと自体が幸せなはずなのに。
成功するにこしたことはないが、成功できるかどうかは時の運です。
水木さんが漫画で食べれるようになったのは40歳を過ぎてから。幼少期から絵で食べることに憧れてずっと描き続けてきた。天才と思わている水木さんでさえも成功までそれだけの時間を要しているのだ。もし、勝ち負けのみに拘っていれば、途中で挫折したであろう。そうなれば鬼太郎は誕生しなかっただろう。ちなみに、アンパンマンの産みの親のやなせ先生は50代でデビューだ。
2.しないでいられないことをし続けなさい。
人間は好きなこと、すなわち「しないではいられないこと」をするために産まれてきた。初心に返って、仕事にあらためて喜びを見出すのもいいし、ずっとやりたかったのに我慢していた趣味をやってみるのもいい。好奇心が沸き起こったら、とことん熱中してみる。そうすると、「しないではいられないこと」が姿を現してくる。
水木さんは遊びにイタズラに明け暮れ、何をして愉快に過ごそうかと頭を日々ひねっていたと書いている。そのように自由に生きてきたことにより発想力が鍛えられ、あれ程の妖怪のアイデアが出てきたのだろう。
3.他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追求すべし。
他人の思惑などに振り回されず、自分のやりたいように生きる。
外の世界にいちいち対応せず、自分の世界の流儀でやればいい。
非常にうなずける。正にその通りである。
僕も自分の遊び方を見つけてからは、他人にどうこう思われようが別に構わないと思えてきた。
例えば、僕は昔から散歩が好きだ。
散歩といっても普通に近所の住宅街を歩いたりするのだけでもかなり楽しめている。
こんな立派な家に住みたいなと観察したり、小さな公園を見つけて入ってみたり、野良猫を見つけて手懐けたり、と近場で遊ぶことに長けている。
そんな事して面白いのかと思われそうだが、僕はそれが楽しかったので今でも自分の足で歩くことが好きだ。
4.好きの力を信じる。
売れなかった時代でも、原稿料の大半を作画の為の資料とかを買い込むのに遣っていた。食べ物を買う金額も満足に残らなかったが、それだけ「好き」の力が強かった。
自分の好きなことをとことん貫き、それに没頭して生きることが大切だということだ。
これを読んで、僕の高校から大学に掛けての友達を思い出した。
彼はかなりのアニメオタクであり、バイト代と仕送りの殆どを全てグッズ費に費やして、生活費はギリギリのところまで削っていた。主な食事はバイト先のケンタッキーで分けてもらったチキンを食べていた。その時はそんなことしてまで。。なんて思っていたが、これも「好き」の力だと思う。
5.才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。
好きなことにのめり込み、才能が開花してどんどん伸びたとする。
でも、食べていくのは大変だ。なかなかもうかるもんじゃない。
努力に見合うマネーはなかなか得られないものだ。
才能があり、人と比べれば抜きん出ていて、この人は凄いと思える人でも、それがお金に繋がっているかというと、そういう訳ではない事は多い。
努力は必ず実る。という訳でないということを知っておくことは大切だ。
だが、それに絶望するわけでなく、それでも自分の好きを信じていくことが大事だ。
6.なまけ者になりなさい。
努力しても結果はなかなか思い通りにはならない。
だから、たまにはなまける事も大切だ。
日々、絶え間無い努力を続け、結果をすぐに出そうとしてもそうはなかなかいかない。
身体が覚えて、徐々に出来るようになってくるという時間を要することは世の中に多々ある。あまり思いつめず、たまには息抜きをしたりして、頑張っている事柄を忘れてみる時間を作ることも大事なのかもしれない。
7.目に見えない世界を信じる。
世の中には「見える世界」の他に「見えない世界」が広大無辺に広がっている。
そこには「目に見えないもの」がたくさんいる。
水木さんは正にその見えない世界のものたち(妖怪)を、僕らに分かりやすく見える世界へと運んでくれた人だ。
そうやって見えない世界がどれだけ広く、また、興味深いところであるかを教えてくれた。
僕は読書も「見えない世界」を見るためのものであると考えている。
読書には行間を読む。という言葉がある。
文章には直接表現されていない筆者の真意をくみとる。
これも見えない世界を見ることだと思う。
また、著者の真意だけでなく、行間を読むことによって、自分なりの解釈を本から産み出すことが可能であると考えている。
その本の意図してところとは違う発想が産まれたりする。
例えば、先日ぼくは、『奇跡のリンゴ』という本を読んだ事を記事にした。
この本はリンゴを無農薬で育てるという話であり、土壌を丈夫に育てることで、リンゴは立派に育つということが発見される。
そこから僕は独自の発想として、髪の毛を守るにはシャンプーは不要であり、頭皮を立派に育てることが大切だという考えに至った。
以前、シャンプーを使わずに、頭を洗う方法を提唱してる本を読んだ。
シャンプーをやめると、髪が増える 抜け毛、薄毛、パサつきは“洗いすぎ"が原因だった! (ノンフィクション単行本)
- 作者: 宇津木龍一
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2013/08/10
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (6件) を見る
その本のやり方を実践して、自分自身で人体実験を行っていた。
半年継続してみた結果としてはかなり良好なもので、これは良い手法であるとは学んでいた。しかし、どうも確信がもててはいなかった。
だが、『奇跡のリンゴ』を読んでみて、間違っていなかったのでは確証が持てた。
と、気付けば、髪の毛の話になっていた。話を戻そう。
ここまでて、幸福の7ヶ条を1つずつ解説してきた。
全部をひっくるめた感想としては、
周囲に惑わされず、自分の好きな事を徹底的に楽しんで生きていけ。
といったところであろうか。
僕もそれについて同感だ。
そのような生き方をここ数年実践してからは、ストレスが非常に少なくなった。
毎日が楽しいし、刺激も多い。
人は人、自分は自分と、分けて生きていけばいいと思う。