カラスってのかしこい。
そう感じたのは、とある展覧会に行ったのがきっかけだ。
昨年の秋頃、都内のオシャレ下町、下北沢にて鳥の巣の展示会が開催されていた。
ちょうどその頃、生物学に興味があり、生き物の生態について書かれた本を読み漁ったりしていた。んー、これは是非とも見てみたいと思い、滅多に訪れない都会の街へと足を伸ばした。
巣を展示してるなんて、とても面白そうだ。
鳥の巣は面白い。
鳥の巣研究家の鈴木まもるさんが監修を勤めている。そんな研究家がいたのかと驚いたが、世の中には様々な肩書き、職業がある。
会場は、下北沢駅から徒歩10分ほどで着く、ダーウインルームというブックカフェの二階の催し物スペースである。
中に入ってみると、家族連れが二、三組ほどいた。
入場料はドリンク代と合わせて確か1000円ほどであった。
おお、見たこともないような奇妙な巣がたくさんあるではないか。
中にどうやって入るんだこれは、と見た目ではよく分からない物もあった。
こんな感じに展示してあった。
フラミンゴの巣は地面に、こんもりと土の山を作っているだけの単純なものだった。
んー、フラミンゴなんて片足で湖に立ってるイメージしか頭に浮かばないが、鳥なのだから巣があるんだよな。
さて、どれも面白かったのだが、その展覧会で、特に、興味をそそられたのが、カラスの巣。
カラスは都会に馴染んでいる。
おお、これがカラスが作ったものなのか。
うまい具合にハンガーやら針金などのゴミを組み合わせて、巣は作られていた。サイズは思ったよりも大きい。
いやはや、見事なものである。ここまで、その環境に適応出来る鳥が他にいるだろうか。
アップでも撮ってみた。
都会なんかで暮らしていけるかよ!ゴミゴミしていてやってられるか!と、怒っているぼくなんかよりもよっぽどお利口さんである。
自然の物が無いのなら、都会にある物で作ろうと、郷に入れば郷に従えという感じがした。
ある物をどう組み合わせるかが大切。
カラスの巣を見て思ったことがある。
何でも、無い、無い言うのではなく、既にある物をどう組み合わせ、活用することが大切なんだなー、ということ。鳥ですら、そういう工夫が出来ているのだから、とても大きな頭脳を持った我々が出来ないわけが無い。
だが、すぐにあれがない、これがないだの言っている。
例えば、料理器具でもそうだ。ゆで卵の殻を剥きやすくする専用の器具とか、ニンニクを砕く専用の器具とか、いちいち、何でも揃え過ぎである。そんなものは工夫次第で、どーにでもなる。道具に頼り切っていてとても情けない。
カラスはおとなしい。
ちなみに、カラスはとても凶暴なやつらで、人間を襲うというイメージが強い。かの有名なヒッチコックの映画『ザ、バード』のでも、カラスが人間を襲い、恐怖の象徴であった。
- 出版社/メーカー: Nostalgic Art
- メディア: ホーム&キッチン
- この商品を含むブログを見る
実はとても臆病なやつら。
カラスを研究されてる松原始さんが書いた『カラスの教科書』。これを読むと、そのことがよく分かった。
ごみ捨て場で漁ってるカラスたちも、人間がどうどうと、威嚇して追い払えば、怯えていなくなるそうだ。それを人間が、ビビりながら、追い払おうとしたり、避けて通過するのがいけない。ほほー、人間は俺たちのことが怖いようだな。フフフ。と、調子に乗る。そう、カラスたちはすぐにチョーシに乗り、ずうずうしくなるらしい。臆病なくせにお調子物とは、どこまで人間ぽい鳥なのであろうか。
- 作者: 松原始,植木ななせ(カラスくん),松原始(スケッチ)
- 出版社/メーカー: 雷鳥社
- 発売日: 2012/12/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (15件) を見る
おしまい。
生き物について学ぶことは楽しい。
学ぶというと、まるで勉強のようになってしまうが、生態を知ることは、自分たち人間についても考える機会となる。
世の中には色んな生物がいて、人間もその一部でしかない。たまたま、脳が進化し、言語を自由に操れ、手先も器用となり、ここまで、人類が発展したに過ぎない。
それをおごって、他の生物を支配でき、この世を作り上げたような錯覚に陥っている。
たとえば鳥は、恐竜から進化したわけで、我々よりも古くから地球に生息していた。彼らは地球生活の先輩なのだ。そんなことを考えると、人間社会にだけ目を向けるのでなく、生き物について学び、謙虚になることが大切だと思う。
『生きものたちのつくる巣』の中に、展覧会にて飾られていた巣も多数出てくる。
- 作者: 鈴木まもる
- 出版社/メーカー: エクスナレッジ
- 発売日: 2015/10/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
- 作者: 竹下文子,鈴木まもる
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 2013/09/19
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
あと、いつも、鈴木まもるさんの名前を、鈴木みのる、と間違える。
- 作者: 鈴木みのる
- 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
- 発売日: 2015/10/30
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る