テレビで駄菓子の特集をやっていたり、街なかで駄菓子を見つけると大抵の人はテンションが上がる。「うわー、懐かしい」とか「これ食べてたわー」とかのセリフを必ず口にする。
しかし、残念ながらボクはそういった感想を抱けない。なぜなら、幼少期より駄菓子を口にした記憶が無いからだ。買ってもらっていたのは近所のスーパーでポテトチップスやポッキーやらの普通のお菓子。あとはケーキとか和菓子とか。駄菓子屋が無かったわけではないが、祖母の買い物について行き、そういった普通のお菓子を買ってもらっていた。また、自分でそれらのお菓子を選んでいたかどうかの記憶も無い。勝手に祖母が、ポンポンと買い物カゴの中に入れていったような気がする。それをただ黙って隣で見ていたような感じがある。
そういったわけで、駄菓子を見ても懐かしくとも何とも無いのだ。むしろ、駄菓子を口にしたのは大学生になってから位だろうか。
昨年読んだ『戦前の生活―大日本帝国の“リアルな生活誌” (ちくま文庫)』の中に、駄菓子屋の話題が出てきた。
学校帰りに駄菓子屋で買い食いをしては行けませんよとのことは、当時から言われていた。これは、無駄遣いをしたらダメだという意味で言われていたわけでは無いらしい。
無許可で営業している駄菓子が多かったらしく、衛生面もひどく、腐った駄菓子を売っていたりとのことも当たり前にあったそうな。そういった理由により、寄り道をするなと言われていたそうだ。まあ当時の子どもたちはそんなことは気にせず、腹を壊しながらでも買って食べていただろうな。