本を読むのをやめて思考が狭まれていく感覚がある。
まず言葉が出ない。頭の中に無数の単語が宇宙のように漂い全細胞を刺激しニューロンが絡み合う。思考が現実世界に流れ出し、嘘も真実も何もかもが不確かなままに平行を辿る景色を見ることが無くなる。
だめだ。読書無くしては物事を考えられない。
誰だ、私から本を奪ったのは。剥奪された知への扉が苦しい。書物が無ければ何も考えられないほどに我が思考力は衰え、役立たなくなったか。かといい読んでさえいれば美しい世界を観れるのか。
文章を書くこともままならなくなる。
日頃使用する言葉なんて限られている。普段の思考から出てくる言葉なんてごくわずかたるもの。そもそも現実世界の言葉に興味が無いのだ。非現実的、ナンセンスなものに惹かれる。
意味は求めていない。解も求めていない。ただ我が肉体精神が必要とするのは心地良きユートピアの語群。
大脳皮質下に太古から眠る、とどろく様な言葉の数。それはまさに新居祝いのライスシャワー。
世界で何が起きようとも全て無関心。どうでも良いのだ。良いことも悪いこともどうせ一時的じゃないか。もっと刹那に生きろ。生きてみろ。浅いんだよ生き方が。大宇宙の暗黒エネルギーを感じてみろ。そこに真理は常に横たわり続けているだろ。まだ見えないのか?
現実を脱し続けよ。
この世の苦しみなんぞ取るに足らぬわ。