時々、外でお菓子の箱を拾う。
拾ったお菓子なんて捨てない。
何が入ってるか分かったもんじゃないわよ、何を考えてるのと母親に子どもなら言われるだろう。
しかし、おじさんとなってしまった自分にはそのようなことはもう遥か遠くの話。
まず拾いあげた菓子箱の状態を調べる。
一度開けて丁寧に閉めて毒を盛っている可能性が無しとは言い切れぬからだ。
開けグチのミシン目も開封前のままとなり、側面の接着剤で留められた部位も違和感は無く、まぎれもない新品である。
賞味期限も訪れてない。
大丈夫だ。食べられる。
そう、拾った菓子を食べるようなどうしようもない大人に自分は成り果ててしまったのだ。
まさかそのような乞食的行動を平然とやってしまうほどに危機感も消え失せた。
仮に箱から取り出し、中の小袋の状態で落ちていたのならば拾うことはしない。
まず何時のモノか分からないし、注射器などで何かを注入されている可能性はある。
だが、箱とその中に小袋と二段構えとなると、油断してしまうのだ。
まあ、いいんじゃない。
大丈夫でしょう。
と簡単に考えてしまう。
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田舎には海の幸、山の幸が溢れているのと同様に都会には都会の幸というのが溢れているという。
となれば自分の拾った菓子こそまさに都会の幸なのだ。それを摘み取ったということである。
口にしても平気であるかを調べ、持ち帰るとの行為は、海の幸山の幸に対する状況となんら変わりはない。
ということで私は拾った菓子箱を持ち帰ってしまうようなやつなのだ。