- 作者: 椎名誠
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/06/15
- メディア: 文庫
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あらすじ
謎の女が島にいた。図鑑の撮影で訪れただけのカメラマン・神田六平を、南の島の人々は怪しんで、あれこれと勘繰る。台風が近づき、選挙に沸く島で、六平の身辺は一触即発となる。ほのかな恋情を胸に、年に1日だけの「風のまつり」を見た六平は、その静かで激しい光景に呆然とする。
ムラ社会特有の閉鎖的空間のドロドロさを感じ取れる作品だった。
互いを監視し合い、常に疑う人々。
特に部外者への警戒は恐ろしほどである。
限られた人間と土地で成立している場所はどこだって、そういう陰険な部分が出てくるのだろう。
会社という組織も実に、ムラのようなものであるなと如実に感じている。
常にたがいの動向を逐一チェックしあい、変なしきたりやルールが多数あったりということはよくある。
昨今、都会に暮らすよりも田舎のほうが断然良いというロハス思考的なものに流されている風潮がある。
ノンビリと自然に囲まれて、あくせく働かずに自給自足の生活を送る。
確かにそういう部分はあるのではあろうが、それが全てという訳ではない。
老後は田舎で暮らそうかなと考えている人もいるだろうが、この『風のまつり (講談社文庫)』や
『シニアこそ都会に住もう 田舎暮らしは不安がいっぱい』を読んでもらいたい。
島や村では外の世界を見る機会がなく、その狭い空間が生活の全てになってしまうために、広い視野を持てなくなるのであろう。