学生時代、何の努力も行わなかった。
周囲の者は全て勉学に励み、きちんとその成果を出した。
進学校の理系コースであった我がクラスの8割は医者となった。
医者にならなかった者も、難関国立大学へと進学し、一流企業勤となった。
私は中途半端にもなれないほど、なにも成さず知を深めることもなく、ただ単に劣等感を抱え続けたのみであった。
卑屈になるくらいならば、努力をしたらよかったものの、その方向での気力が湧くこともなく、存在・気配を消すことで生活していた。
空気となることを望み、誰からも目を向けて貰わないように気を遣った。
完全なる闇の時代だった。
高校を卒業した後も、当時のことを頻繁に夢見ることがあり、うなされながら目覚めていた。
もうあの学校に通わなくていいという事実に気付く度に、心底嬉しかった。
だが、未だに当時の自分に苦しめられている部分はある。
堕落した、やるべきことを果たせなかった自己を何度も振り返ってしまう。
無知・無学であることを恥じている。
それに対する贖罪の意味で、ひたすら本を読むだけの生活を自分に課している節がある。
私の読書は、コンプレックスの表れに過ぎない。
例え将来、子どもが出来たとしても、その自分の罪を次世代に押し付けるような真似だけは決してしない。
自分が出来なかったことを、他人に強要するような人間は屑である。
やるべきことは自己への強要だけだ。