ある人物に陶酔し、思考や行動パターン
を真似て、素養を己に吸収させようとする期間は必ず訪れる。
その期間を経て人は成長していく。
「この人物は大変に素晴らしく、学びも多くある。彼(彼女)ほどの天才は他にはいない」
ぐらいに熱をあげることが、人生には幾度もある。
書いた文章、発言した言葉すべて追っていく。創作物すべてに触れていこうとする。
しかし、そのうちに少しずつズレが生じてくる。
この人はもう自分とは考え方や生き方が違うなと感じる日が来れば、もう振り返る必要はない。
生きていると、嫌なことに数多くぶち当たる。
不安で眠れず、心が壊れてしまいそうな夜を何日も過ごすこともある。
何日どころか何年も続くことさえも。
深夜にストレスの腹痛で目が醒めることも。
そんな時は、藁にもすがる思いとは正にこのことで、正常な判断ができれば決して頼るはずのない相手にさえも救いを求める。
それがいい方向に転がるか、どんどん堕ちていくかは時の運で、破滅一直線な場合もある。
だが、その経験や知識が人を形成し、その先へと進む力を与えてくれる。
その時の失敗や成功はどうでもいい。
より長期的な視点で観た時に判断したらいい。
痛みに鈍感で、頭を麻痺させて生きたらいいのではないだろうか。
周囲に気を遣いすぎ、常に自分の選択を殺して生きても何も楽しくはない。批判を恐れて無難な生き方をしたとしても、その先に納得した形の未来を手にすることは出来ないだろう。