頭の中が空洞である。
ここ最近うまく喋れなくなってきた。
文章で書く時はそこそこに伝えられるのだが、口で話すとなると何も出てこない。
ボケてきたんじゃないかと思うほどにだ。
うー、とか、あー、とか言うばかりで気の利いた返しが出来ないのだ。
これは本ばかり読んで過ごしている弊害なのではと思うようになった。
本さえ読んでいれば世の中のことを割り切れるというか、白黒はっきりと付けられるようになるんだろうと思っていたのだが、どうもそうではない事がわかった。
大概の事柄はグレーであり、出来ることならば曖昧なままにことを進めてしまうのがベストである場合が多々ある。
わざわざ、過去を蒸し返しとやかく言ったところで良いことはない。臭い物には蓋をみたいな精神が大切なのではと考えるようになってきた。
しかし、そうでは問屋は卸さない。
僕の曖昧さ加減に痺れを切らされることが増えた。
しかし、しかしながらだ。
一つの事象にたいして無理くり結論を付けたところでそれが正解とは呼べないのだ。
幾通りも次の手が考えられる。
詰将棋の如く、つねに大手を掛け、最善の道が示されているならばいざ知らず、そう簡単なものではない。
とまあこんなことを言ったところで、なんと優柔不断な男なのであろうかと揶揄されてしまう。
優柔不断は知恵なのだ。
一つの手しか無いと思い込み、その道に進むことはやろうと思えば出来る。しかし、それは馬鹿のすることだ。他の方向を敢えて見ないように目隠ししながら進んでいるに過ぎない。
一度、棚上げして、ゆっくりと腰を据えるべきなのだ。
そう急かすんでない。
急かしたところで良き結果が招かれるとは限らないのだ。
そんなことばかり考えている。