最近、死についての本を読むことが多い。
『日本人の死に時―そんなに長生きしたいですか (幻冬舎新書)』はなかなか面白かった。
現役医師の久坂部羊氏が書いている。
多くの人にとって長生きは苦しい。
人の寿命は不平等である。
寿命を大切に生きることは、単なる長寿とは違う。
など、とても医師とは思えないような発言を繰り返す。
本来ならば、医師は長生きは良いことです。少しでも生きながらえられるよう、徹底的に治療をしましょうと、ベッドに縛り付けあの手この手で、患者を生かし続ける。
どんなに苦しもうが、切ったり縫ったりと手術を繰り返す。
現代は医療の発展により、健康的に生きることの出来る寿命を大幅に超えた年齢まで生きることが可能となった。それは一見、幸福なようであるが、それがゆえに自然な死を迎えることがほぼ出来なくなった。枯れるように亡くなっていくことは、もはや過去の事象である。
老齢になってからの身体の不調は仕方のないものであり、それは病気でなく老化がもたらしているに過ぎない。
著者は自然な死を迎えるために、病院に
行かない勇気を持つことも必要であると述べる。
病院に行き、いったん治療が始まると、途中で止めることは難しくなります。人口呼吸器でも、回復の見込みがなくなったからといって、外すわけにはいきません。外すば殺人罪に問われる危険性があるからです。
治療の副作用で体を弱らせたり、時にはそれが命取りになる危険もある。
老人になれば、だれでも身体の異常はあるもの。気づかなければそのまま放っておける異常も、見つけたら治療せざるを得なくなる。
病院に行くととにかく待ち時間が長い。長々と待たされても、たいていは治らないことが分かって、対症治療でお茶を濁される。
医療ミスは起こらないか、薬の副作用は起きぬか、病気が悪化したと告げられないか、新たな病気が見つかるのではないか。
このように負の連鎖は続いていく。
ここまでくると、病院通いは単なる暇な老人の趣味では無いかと思えてくる。
話し相手欲しさに、健康をネタに病院て赴き、看護師や医師と話して満足して帰る。
尚且つ、長生き出来るかどうかの確認も出来る。これは素晴らしい!といった感じに。
骨折など外的なものであれば治療は必要かと思うが、老化現象ではどうしようも無い。
死を必要以上に恐ることなく、死をありのままに受け入れ、天寿を全うするべきだ。
- 作者: 久坂部羊
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/01
- メディア: 新書
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