あらすじ
大学受験を目指し勉学に励む主人公別所たけし、そんな彼の人生は母の事故から始まる連鎖反応的な不幸により無間地獄へと堕ちていく……。
国内を代表するサブカルチャー文化を生みだした漫画雑誌『ガロ』にて連載されていた、山野一氏の代表作品です。
山野一氏は、同じく漫画家であった、ねこぢる、と結婚されていました。
【目次】
感想
全てを破壊する
人生の意味とか目標とか、全てをぶち壊すような漫画でした。
理想や他人との差別化などは全て幻想であり、常に私は見えない敵と闘い続けているだけなのではと感じました。
自己価値を求めて、もがく人生
少しでも崇高な人生にしよう、自分の存在価値を高めようと、無理にでも他者に「個人の意義」を押し付け、人類のちっぽけな一部ではなく、何者にも代え難い、「特別な個」であることを認識してもらいたく考えています。いわゆる承認欲求でしょうか。
承認欲求に残りの人生を費やし、大切な物を棄て、偽りの人生を進むことの虚しさをヒシヒシと感じさせる作品でありました。
世界は虚構に過ぎない
この作品の手荒な表現・ストーリー構成は、一見、粗雑な印象を与えてしまう可能性が高いです。しかし、その影に、世の中に大した物は無く、どんなに悲痛な事象であろうとも、それほどに重要性を占めておらず、"虚構"であるに過ぎないことを表しています。
ーでは、私はどうしたらよいのでしょう?
生き続けるしかない
運命は定まっているものでも、自分で切り開くものでもありません。様々な要素が複雑に絡み合い、たまたま出来上がった世界に過ぎません。
ただ、受け入れていくしかないのではないでしょうか。
絶望するのでもなく、変に期待を寄せ過ぎるのでもなく、ただ目の前に起きたことを観察することしか出来ません。
それは、"無力"の一言で片付けられてしまうでしょう。
確かに、無力と言ってしまえば無力なのです。ですが、何も出来ない訳ではありません。変化は起こすことは出来ます。それが、必ず良い結果、理想とする未来、を構築してくれるかは別として、変えることは出来るのです。
- 作者: 山野一
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 1999/12
- メディア: 文庫
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