嘘をつくことは悪いことだ。
これは、他人をあざむく行為は良くないという道徳的な意味合いかと思っていた。
だが、それ以外にも、理由があることを知った。
嘘をつけば、自分に嘘をつくことになる。
嘘を一つ産むと、それをずっと維持しなければならない。その場をしのぐために、何気ない気持ちでついたことでも、また、その話題が出る度に、言い続けなければならない。それを忘れることも許されない。忘れてしまえば、話にむじゅんが出来、つじつまが合わなくなる。
なので、それを防ぐために、自分に、嘘を真実かのように信じこませねばならない。
本当の自分が分からなくなる。
嘘は嘘を生む。その連鎖は続いていく。
はじまりは小さなことでも、積み重ねによって、とてつもなく巨大な嘘となる。
そうなると、もう手遅れだ。
なにが真実だったのか、自分でも分からなくなる。本当の感情、考え、気持ち、全てがバラバラになる。
一度崩れた、その一つ一つのパズルは、元の位置に戻らなくなる。いつまでも完成できない、ジグソーパズルのようなものだ。
常に自分に正直であれ。
いつでも、自分に本音を伝えておく。これは大切だ。それにより、本来の自分を見失うこともなくなる。なにが好きで、なにが嫌いで、どの様なことが楽しくて、どのようなことが辛くて。そういった、自分の感覚をハッキリと認識できるようになる。嘘をつくことは、自分を誤魔化すことに繋がる。
嘘をついて、苦しむのは自分自身なのだ。