隠居生活をはじめた。
30代半ばにしてほぼ隠居生活になった。
ここでいう隠居とは、人に会わないことを意味している。
つげ義春のような世捨て人的な生き方にあこがれていた。
しかしながら、本や漫画を書けるわけでも何かを生み出せるわけでもない。
いたって凡人であり、何も特別な素養を身に着けていない。そんな私は、ただ社会から遠ざかる選択をしただけのこと。
普通に自分の仕事をせねばならないし、手を抜くことも難しい。
家族三人で暮らすためのお金を確保せねばならないからだ。
それでも、様々な雑音が周囲から消え去り、ひとりの時間を過ごせるのならば構わない。
人と会う約束をしたり、決まった時間に仕事へ出向いたり、興味のない話に作り笑いを浮かべることがストレスだった。
顔面がマヒしそうなほどしんどくもあった。
とにかく楽になりたい、面倒ごとから抜け出したい。自分が頑張れることだけを頑張りたい。そう思っていた。
まだしばらく、悩むことは多々ある。
静かな時間のなかで考えていきたい。